【株主優待で映画鑑賞】手に魂を込め、歩いてみれば(Put Your Soul on Your Hand and Walk)|ガザ地区の「いま」を突きつけられる120分【レビュー】



はじめに

こんにちは、管理人MASAです。

今回は東京テアトル(9633)の株主優待券を使って、シネ・リーブル池袋で映画を観てきました。

鑑賞したのは、ドキュメンタリー作品『手に魂を込め、歩いてみれば(Put Your Soul on Your Hand and Walk)』。

イスラエルによる攻撃が続くガザ地区。

その「現在進行形の現実」を、ビデオ通話という極めて日常的な手段で記録した作品です。

そして、本題に入る前に少しだけ残念なお知らせを。

前回の記事でも触れましたが、シネ・リーブル池袋は2026年1月31日をもって閉館予定となっています。

シネ・リーブル池袋 さよなら上映会

2026年1月16日〜31日までは「さよなら上映会」が開催されるとのこと。

座席が比較的ゆったりしていて、作品に没入しやすい劇場だっただけに、本当に惜しい・・・。

地下街から直結で、雨に濡れずに行ける利便性も含め、個人的にもかなり好きな映画館でした。

今回が、管理人にとって最後の訪問になるかもしれません。

▶︎ シネ・リーブル池袋の情報はこちら(公式サイト)
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映画『手に魂を込め、歩いてみれば』予告編

ビデオ通話越しに届く「ガザ」の日常

この映画はドキュメンタリーであり、明確な「答え」や「結論」は提示されません。

物語の大半は、パリを拠点に活動するイラン出身の監督セピデ・ファルシと、ガザに住むフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナとのビデオ通話によって構成されています。

通話の向こう側では、空爆の音が響き、通信が途切れ、時には会話そのものが中断される。

それでも画面越しに映るのは、あまりにも「普通」な日常です。

ファトマは「英語は得意ではない」と語っていましたが、英語ネイティブではない管理人にとっては、むしろ彼女の言葉はとても分かりやすく、感情も状況もストレートに伝わってきました。

特に印象に残ったのは、二人の立場の対比です。

・祖国を離れ、世界を飛び回る監督

・ガザに「閉じ込められた」まま、それでも未来を語るファトマ

「光や撮影についてもっと学びたい」「世界中を旅してみたい。バチカンにも行ってみたい」

そんな夢を語るファトマの言葉は、前半では希望に満ちているようにも見えました。

しかし、攻撃が激化し、食料すら満足に手に入らなくなるにつれ、彼女の口からは次第に「depressed(鬱)」という言葉が増えていきます。

10ヶ月ぶりに手に入れたポテトチップスを、心から嬉しそうに掲げるファトマ。

その笑顔が、なぜかこちらの胸を強く締めつける。

「喜び」の基準そのものが、あまりにも違う現実を突きつけられた気がしました。

そして、劇中で時折流れるファトマ自身によるアラビア語の歌や詩も忘れがたい要素です。

言葉の意味を理解できなくても、その声やリズム、響きそのものが美しく、過酷な現実の中でも彼女の感情や尊厳が確かに存在していることを静かに伝えてきます。

鑑賞中に感じた、拭いきれない「違和感」

率直に言うと、この作品には強い感銘と同時に、いくつかの違和感も残りました。

たとえば、通信状態が悪い中、ファトマが命がけで状況を語っている最中に、監督が「飼い猫がドアを開けてほしがっている」と席を外す場面。

これを「生活感のリアルさ」と捉えることもできるでしょう。

しかし個人的には、そのたびに集中が途切れ、画面のこちら側と向こう側にある「安全の差」を強く意識させられました。

そして、カンヌ映画祭への出品が決まった翌日、ファトマがイスラエルの攻撃によって命を落とした、という事実。

ラストで語られる「ファトマは今夜、私たちと共にいるべきでした。芸術は残り続けます」という言葉は、美しく、正しいのかもしれません。

それでもどこか、彼女の命までもが「記録」や「作品」の一部として消費されてしまったのではないか・・・、そんな苦い後味が残ったのも事実です。

戦争を「遠い出来事」にしないために

1945年の終戦から長い時間が経ち、日本では戦争がどこか過去の出来事、あるいは遠い国の話として語られがちです。

しかし2026年現在も、世界では戦争の針は止まっていません。

・ロシアとウクライナ

・イスラエルとガザ地区

・スーダンやミャンマーの内戦

・東アジアをめぐる緊張

劇中でファトマがこぼした、「私たちはただ、普通の人間として慎ましく生きたいだけなのに」という言葉。

それは決して特別な主張ではなく、本来なら誰もが当たり前に持っているはずの願いです。

この映画は、戦争を「理解」させてくれる作品ではありません。

しかし、日本人である自分にも、「戦争というものを自分ごととして考えなければいけない」そう思わせてくれる120分でした。

この1年間の映画館で観た私的ランキング

1位 国宝(2025年9月観劇)
2位 スーパーマン(2025年7月観劇)
3位 ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男(2025年4月観劇)
4位 手に魂を込め、歩いてみれば(2026年1月観劇)NEW
5位 おーい、応為(2025年10月観劇)
6位 HAPPY SANDWICH 〜幸せのサンドウィッチ〜(2025年6月観劇)
7位 BAUS 映画から船出した映画館(2025年3月観劇)

※ランキングは「この1年で映画館で観た中で、どれだけ心に残ったか」という私的基準です。映画そのものの良し悪しというより、「そのときの自分の気分にどれだけフィットしたか」です。

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■関連リンク
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